この問いに答える前に、先ずある点に注目することが重要です。イスラエルの民が故郷から遠く離れ、迫害を受けながらも奇跡的に生き延びた、長きにわたるユダヤ人の追放という現象は、人類史上、他に類を見ないものです。実際、ユダヤ人はあらゆる困難を乗り越えて生き残った唯一の民族です。旧約聖書に記されている他の民族は、とうの昔に歴史から姿を消しました。エドム人、モアブ人、アモン人などの帝国は、もはや存在しません。次に重要な点は、イスラエル民族の樹立は、最初から奇跡に満ちていたということです。神はアブラハムを選び、彼とその子孫との間に永遠の契約を結びました。アブラハムはイスラエル民族の最初の族長です。神はアブラハムに、彼が住んでいたハランの地を離れ、カナンの地へ行くように命じました。神は、アブラハムの子孫にその土地を与えると約束されたのです。しかし、アブラハムには子供がいませんでした。神は99歳のアブラハムと90歳のサラに、息子を授けると約束されました。そして、その息子を通して、アブラハムは偉大な民族の父となると。神は約束を果たし、奇跡を起こし、サラはイサクを産みました。ここでもまた、ユダヤ民族の創造そのものが奇跡に根ざしていることが分かります。こうして、ユダヤ民族の物語はアブラハムから始まり、イサク、ヤコブ、そしてイスラエルの十二部族へと続いていくのです。では、モーセの時代に話を進めましょう。ここで、神とイスラエルの民との関係を理解する上で重要な点がもう一つ見えてきます。因みに、イスラエルの民は単なる歴史上の事例ではなく、私たちが神の性質を学び、理解し、今日の生活を生きるための洞察を得る模範なのです。この民が約束の地に入る直前にされた最後の説教において、モーセは預言し、彼らに警告しました。もし彼らが神から離れるならば、裁きが下り、諸国に散らされるだろうと。しかし、それでもなお、神は忠実であり続け、そして、終わりの日に彼らを連れ戻すだろうと。